2021年 とんチキ アニメ大賞
目次
前置き
僕,とんチキが今年2021年に初めて鑑賞したアニメの中で特に素晴らしいと感じたものを褒め称えたい。
その前に前年までの受賞作品を発表する。
2019年はTwitterで「とんチキが2019年に観たアニメ最優秀賞」と言った『機動戦士ガンダム00』を大賞とする。
2020年は特に選出していないが,今思い返して大賞『ガンバの冒険』,準大賞『少女革命ウテナ』としたい。第三位は,急に名前に数字が出て来るのは違和感が有るので科挙の第三位の呼び名から取って「探花賞」と称することとして,作品は『瀬戸の花嫁』とする。
表彰
第1位から第3位までの作品を,それぞれ大賞,準大賞,探花賞として表彰する。
「素晴らしいと感じたものを褒め称え」ると言ったが,この「素晴らし」さとは,僕に与えた面白さ,楽しさ,驚きなどの大きさのことだと自身では思われる。
以前に極めて部分的には視聴していた作品も含めて,僕が「2021年に観た」と胸を張って言える作品を選考対象にした。
大賞
『トップをねらえ!』(1988-89)
元気と希望が湧いてくる最強のアニメーション!!
大賞は庵野秀明監督のOVA作品『トップをねらえ!』
名古屋のミッドランドスクエアシネマで鑑賞したのが1月7日なので,今年一番初めに観たアニメかもしれない。そこからこの一年に観た全てのアニメを退けて見事大賞に輝いた。6月にはBlu-rayを手に入れたのでサークルの友人を誘って家で上映会をした。それくらいハマった。
ジャンルとしては宇宙SFロボットアニメ+スポ根+美少女といったところ。宇宙パイロット養成学校の落ちこぼれのノリコが,みんなの憧れのお姉さまアマノ・カズミと共に,地球を脅かす宇宙怪獣を撃退するためのロボット部隊に選ばれてしまうところから物語は始まる。コーチの指導の元,二人の努力と根性が人類の最終兵器ガンバスターを動かす!
たしかに第1話から第4話までも面白いけど,やっぱり最終2話が真骨頂でしょう!!
第4話までの宇宙怪獣との戦いから地球に帰還すると,亜光速での移動に伴うウラシマ効果で地球では遥かに長い時が過ぎていた。地球のために宇宙で戦えば戦うほど,地球とは違う時を生きなければいけない切なさ。
第5話は激熱の合体シーンからの宇宙怪獣の大群を蹴散らすガンバスターが爽快。とにかくやりたい放題で大好き。最終話は人類と宇宙怪獣の総力戦。その結末は…自分の目で確かめてほしい!
全編の至るところに散りばめられた昭和アニメ・特撮のパロディ,小さなギャグの数々。劇中の人物たちは大真面目だから「これは笑うところなのかな?」と思うだろうけど,そういうところはだいたい笑うところ。スポンサーの意向で随所にお色気要素(乳揺れとか)を入れているけど,その条件を消化するだけでなく最終話で名シーンに昇華させたのは見事。逆にエッチなの一切描けなかったら,あそこまで熱いシーンになってないと思う。
そして田中公平先生の音楽が素晴らしい。なにより第5話の挿入歌は合体シーンと音ハメしてあってめちゃくちゃ盛り上がる。よく聞くと同じメロディの曲が幾つか有ったりと,仕掛けがしてある。勇ましいガンバスターの曲や最終話の壮大なエンディングと並んで,第2話でカズミとユングが戦うシーンの曲もどこかコミカルで好き。音楽に絡めて続編である『トップをねらえ2!』の話も少ししておくと,作風がガラリと変わっていても同じ田中公平先生の音楽が有るおかげで「トップだ」と思えるし,前作の音楽と『2!』の音楽の多くが対になっていて凄く楽しめる。
準大賞
『劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト』(2021)
最高に楽しい!!
準大賞は古川知宏監督の劇場アニメ作品『劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト』
2018年のTVアニメ『少女☆歌劇レヴュースタァライト』の新作劇場版。6月4日に公開されてから6月17日,7月5日,9月28日と映画館で3回観た。この作品は映画館のでっかいスクリーンと,臨場感あふれる音響で観るのが最高だった。画面の比率が古い映画みたいに横長で,僕が横浜ブルク13で観たときは「No More映画泥棒」の直前に左右の端にかかっていたカーテンがウィーンって外にはけて,普段の映画では余しているスクリーンの左右の端まで映像が視界いっぱいに広がってびっくりした。
配信やBlu-rayだと横長なために上下に黒い帯が出てしまって没入感を損ねたり,映像を小さく感じたりするかもしれないから何度でも映画館で観たいですね。
6月に公開されてから半年くらい途切れずに劇場で上映されていた気がする。すでに事あるごとに復活上映されているのでTVアニメと,出来れば再生産総集編『ロンド・ロンド・ロンド』も観て,「ぜひ劇場で!」と言えます。
感想は「楽しかった」これに尽きます。初めのタワーのシーンでは大きな音で場内の空気が実際に震えているからか,吹き上がる風を感じた気がする。盛り沢山のレヴューシーンはどれもワクワクした。次々に種目と服装が変わって愉快なまひるとひかりのオリンピック,縦横無尽に飛び回る真矢クロの見ていて圧倒されるほどアクロバティックなバトルが特に楽しくて好き。戸惑いながらもちゃんと飛んだり跳ねたりフェンシングしたりするひかりちゃん好き。
真矢クロのレヴューにはなぜか涙ぐんだのを憶えている。二人のレヴューはきっと有ると期待してはいたものの,想像を遥かに超える凄いものを見せられて嬉しかったんだと思う。飛び回って切り結ぶ二人をグルグル回って映すカメラワーク!
前半のばななやレヴューでのまひるちゃんなどホラーな演出にはハラハラした。そういうのが無いTVシリーズだけでなく『ロンド・ロンド・ロンド』を観ていると,より真に迫った感じが増してドキドキできそうである。
クライマックスの華恋とひかりの名乗りのシーンのライトワークと言うのか,口上に合わせた照明の色や動きの変化がバチッと決まっていてかっこいい!
観終えると晴れやかな,そして新しい気持ちになる。
探花賞
『赤毛のアン』(1979)
プリンス・エドワード島に行きてえ!!
探花賞は高畑勲監督のTVアニメ作品『赤毛のアン』
12月19日から26日に鑑賞した。初めて観たのは高校卒業後に浪人生であった年に平日の夕方TVで再放送されていたときだろうと思う。楽しみにはしていたが放送に間に合うように帰れる日も多くなく,この時にはほんの数話しか観ていない。
そこから4年経ち,今年の12月に庵野秀明展で庵野監督が観ていた作品が集められているコーナーで『赤毛のアン』を見かけた。それをきっかけに,ちゃんと観たいな,と思って全話視聴した。
老いた兄妹マシュウとマリラは孤児院から男の子を養子に迎えることになっていたが,手違いで赤毛の少女アンがやって来る。マリラはアンを孤児院に送り返そうとするが,その道中でアンと過ごしている内に気が変わり,アンを引き取ることに決めるというのが物語の始まり。
見どころはアンとマリラの関係が変化していくところ。
アンは夢想家でおしゃべりで,おまけにそそっかしくて,めちゃくちゃやらかす。そんなアンをニコニコ見守っているマシュウとは違って,マリラはアンに結構厳しい。マリラがブローチを失くして,アンが盗ったのだと疑うエピソードが序盤の二人の関係を表す話として印象的。赤の他人から始まっているから,お互いのことがわからないんだなあ。
次第にマリラはアンが引き起こす様々な出来事,失敗を彼女の個性,自分にとって日常の楽しみとして受け入れるようになる。このあたりの二人のやり取りが面白いんだけど,みるみるうちにアンは凄く立派に成長して幼かった頃のような失敗はしなくなる。ここでマリラが,今のアンを誇らしく思うのと同時に,世話のかかった幼い頃のアンをたまらなく懐かしく思うのがいい!視聴者の思いとリンクしている。
終盤,とてつもない悲しみが二人を襲う。そこで本当の母娘のようになった二人がどんなやり取りをするのか観てほしい。
他に好きな点として,アンにとって親に近い存在であるマシュウとマリラだけど,アンは二人のことは呼び捨てで,そういう関係も味わい深いし,アンが二人の名を呼ぶときの声が好き。アニメオリジナルかもしれないけど,一話限りのショートヘアのアンがめっちゃかわいい。
それとOP曲とED曲が素晴らしい。いろんな楽器の音が聞こえてきて,めちゃくちゃ聴き応え有る。